1 KDDIの会社概要
出典:KDDIの公式HP
KDDIとは、国内の携帯シェアにおいて第2位に位置している大手通信会社です。
「固定通信」と「移動通信」を1つの会社の中で行っているため、2つの通信事業を組み合わせた独自の割引プランである「auスマートバリュー」を売りに、幅広い顧客基盤を獲得しています。
また、「通信とライフスタイルの融合」を掲げ、近年では金融・エネルギー・保険・教育など、非通信事業にも力を入れています。
2KDDIの歴史
2000年に、KDD(国際電信電話)、DDI(第二電電)、IDO(日本移動通信)の3社が合併してKDDIが誕生しました。
このうち、DDIとIDOにはそれぞれ京セラとトヨタ自動車の資本が入っていたため、現在もこの2社はKDDIの大株主として経営を支えています。
年度 | 主な出来事 |
2000年 | KDD、DDI、IDOが合併して誕生 |
2010年 | J:COMへ資本参加 |
2011年 | au損保を開始 |
2014年 | au WALLETサービスを開始 |
2016年 | auでんきを提供開始 |
2017年 | ビックローブを子会社化 |
2018年 | 教育事業参入(AEON) |
2019年 | auフィナンシャルホールディングス設立、au PAYを提供開始 |
3 KDDIの企業研究
(1)業績推移
KDDIの売り上げ・利益は右肩上がりで、堅調に推移しています。
また、事業領域ごとに見てみると、ライフデザインとビジネスセグメントが伸びており、通信以外の事業が好調であることが分かります。(KDDIの事業領域については下で詳しく説明します。)
(2)事業領域
KDDIの事業領域は主に「パーソナルセグメント」と「ビジネスセグメント」の2つがあります。
*2019年までは、パーソナル、ライフデザイン、ビジネス、グローバルの4セグメントがありましたが、2020年3月期に見直され、現在の2セグメント体制になりました。
それでは、それぞれの事業領域について詳しく見ていきましょう。
パーソナルセグメント
パーソナルセグメントはKDDIの総売上の約80%を占める領域です。2つの事業から構成されており、『通信事業』と『ライフデザイン事業』があります。
『通信事業』とは、みなさんがイメージしやすい個人向け通信サービスや、携帯端末の販売などを指します。
しかし近年では、日本の人口減少や、格安スマホの普及などによって、国内の通信事業は頭打ち状態です。
そこでKDDIが推進しているのが、「通信とライフデザインの融合」を目指した『ライフデザイン事業』です。従来のKDDIは『通信事業』に依存する形でしたが、現在では『通信事業』をコア事業として、コマース・金融・エネルギー・教育など、あらゆる生活シーンに関連するサービス(ライフデザイン事業)を展開するようになりました。
これによって、消費者の生活に合わせた包括的なサービスを提供することが可能になっています。
【ライフデザイン事業のサービス例】
auでんき、au損保、auPAYマーケット(旧 au Wowma!)、auPAY、など
ビジネスセグメント
ビジネスセグメントでは、法人向けに通信サービスやICTソリューションなどを提供しています。
その中でも代表的な取り組みとして挙げられるのが、顧客企業の海外進出を支援する「IoT世界基盤」というプラットフォームサービスです。
通常、日本国内と同等のIoTサービスを海外で使用するとなると、現地の通信キャリアとの個別契約やデバイス認証が必要になり、非常に煩雑な作業が必要になります。
しかし、「IoT世界基盤」を活用すれば、そうした煩雑な作業をなくし、海外でも簡単にIoTサービスを利用することができるようになります。
企業のグローバル化が進む中で、この需要は今後さらに拡大するでしょう。
また、コロナウイルスによってテレワークの需要も拡大したため、「IoT世界基盤」に限らず、KDDIのビジネスセグメントは今後も堅調に伸びていくことが予想されます。
(3)KDDIの強み・特徴
KDDIの強みや特徴として、「ライフデザイン事業」「顧客の囲い込み」「海外事業」の3つが挙げられます。それぞれ見ていきましょう。
強み・特徴① ライフデザイン事業
KDDIでは、金融・エネルギー・教育など、通信以外の事業に幅広く展開しています。
その中でも、競合他社と比較して特徴的なのが「エネルギー」です。
2016年の電力自由化に伴ってサービスを開始した「auでんき」は、2019年3月時点で契約件数が200万件を突破しました。これは、通信業界の中でトップの数値であり、電力会社を除いた販売量ランキングでは、東京ガス、JXTGエネルギーなどに次ぐ6位に位置しています。
参照:新電力ネット「全国の電力販売量ランキング」
通信以外の幅広いニーズに対応して、顧客のライフスタイルに合わせた価値を提供できる点は、KDDIの強みと言えるでしょう。
強み・特徴② 顧客の囲い込み
KDDIがライフデザイン事業を推進している背景には、通信事業における解約率を減少させる狙いもあります。
実際にKDDIが調査した結果、auの通信サービスとライフデザインサービス(auでんき、au損保など)をセットで契約している顧客は、通信サービス単体で契約している顧客に比べ、解約率が減少することが明らかになりました。
「通信サービス+ライフデザインサービス」のセットプランを提供して解約率を減らすことで、顧客の囲い込みに成功しています。
強み・特徴③ 海外事業
2020年現在、KDDIグループでは世界62都市に100以上の海外拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。
ソフトバンクが10か国23拠点、ドコモが12か国19拠点なので、海外の拠点数ではKDDIが圧倒的です。
また、海外事業での目的は、「インフラ整備が不十分な国に対し、通信サービスを提供していくことで、その国々での経済発展、生活基盤向上に貢献することである」としています。
参照:KDDI公式HP「セグメント別事業概況」
例えば、2014年にはミャンマーに参入し、住友商事、MPT(ミャンマー国営の郵便電気通信事業体)と3社共同で、通信事業を開始しました。
その後もミャンマーでは、高速データ通信サービス「LTE+」を開始したり、モバイルゲーム市場に参入するなど、国の経済や国民生活の向上に貢献しています。
(4)KDDIの弱み・課題点
弱み・課題点① 非通信事業の実績
KDDIでは非通信事業として、金融、エネルギー、教育など幅広くサービスを展開していますが、これといったサービスがなく、知名度もまだまだであるという点は課題として挙げられます。
例えば、ソフトバンクならPayPay、ドコモならdポイントといったように、トップクラスの会員数や知名度を誇るサービスがKDDIにはありません。
また、売上高に占める非通信事業の割合を比較してみると、ソフトバンクには約2倍の差をつけられています。
先ほど紹介した「auでんき」や2019年にサービスを開始した「au PAY」など、代表的な非通信分野のサービスを生み出せるかが、鍵になるでしょう。
(4)競合(NTTドコモ・ソフトバンク)との比較・違い
次は、競合であるNTTドコモ、ソフトバンクと比較しながら、3社の違いを確認しましょう。
業績
3社の直近の業績を比較してみると、KDDIが売上・純利益ともにトップです。
KDDIは、移動通信と固定通信どちらも手掛けており、非通信事業も堅調に伸びているため、携帯シェアトップのドコモと比べても高い売上を出しています。
財務状況
KDDIの財務はドコモと似ており、非常に安定しています。また、2020年3月期の決算では、KDDIはトップの純利益と売り上げを記録しました。
KDDI | NTTドコモ | ソフトバンク | |
営業利益率 | 19.58 | 18.37 | 18.75 |
ROE | 14.93 | 11.14 | 37.87 |
ROA | 7.57 | 7.95 | 5.31 |
自己資本比率 | 45.8 | 69.7 | 10.2 |
営業利益率・・・本業で稼いだ利益を示す。目安は10%以上。
ROE ・・・企業の収益性を示す。目安は10%以上。
ROA・・・経営の効率性を示す。目安は5%以上。
自己資本比率・・・企業の安定性を示す。目安は40%以上。
携帯電話契約数シェア
携帯のシェアは、ドコモが44.1%でトップ、その下にKDDIとソフトバンクが続いています。
また、過去のデータと比較すると、少しではありますが、KDDIがシェアを拡大しているのが分かります。
参照:一般社団法人 電気通信事業者協会「事業者別契約数」
3社を比較した、さらに詳しい情報はこちらの記事で紹介しています。通信業界を志望する方は参考にしてください。
(5)中期経営計画
2019年5月、KDDIは新たな中期経営計画を策定しました。
この中期経営計画では、以下の7つを事業戦略の方向性といて定めています。
出典:KDDI「新中期経営計画」
15G時代に向けたイノベーションの創出
2通信とライフデザインの融合
3グローバル事業のさらなる拡大
4ビックデータの活用
5金融事業の拡大
6グループとしての成長
7サステナビリティ
通信事業を中心とした周辺ビジネスを拡大していくことで、環境変化・ニーズの多様化に対応していく方針です。
特に2番目の「通信とライフデザインの融合」は今後もKDDIが核として取り組んでいく分野なので、選考を受ける際は必ず覚えておきましょう。
(6)最新ニュース
au PAYでローソンと提携(2019年12月)
スマホ決済サービス「au PAY」の利用者拡大を狙い、KDDIはコンビニ大手のローソンと資本業務提携を結びました。
また、2020年5月にはau WALLETポイントをPontaポイントに統一。約9,400万人いるPonta会員を取り込むことで、さらなる利用者拡大を目指しています。
ジョブ型人事制度の導入(2020年7月)
勤務年数や働く場所にとらわれず、実際の仕事内容や成果によって処遇を決定する「ジョブ型人事制度」を導入しました。
社員の適性や業務内容を明確にすることで、仕事の生産性を向上させる狙いがあります。
4 KDDIの働き方
(1)年収
有価証券報告書によると、直近のKDDIの平均年収(総合職)は952万円でした。
また、口コミサイトを見ると、評価・残業次第では、30代で年収1000万円を超えるケースもあるそうです。
年齢 | 総合職社員の年収推移(推定) |
25歳 | 400〜500万 |
30歳 | 600〜700万 |
35歳 | 800〜900万 |
40歳 | 900〜1100万 |
45歳 | 900〜1300万 |
50歳 | 1000〜1600万 |
(2)残業時間、福利厚生
就職四季報によると、KDDIの月間平均残業時間は19時間でした。
平均すると1日1時間弱なので、KDDIの残業時間はそこまで多くないと考えられます。
また、有休や育児休暇など、休みを柔軟に取れる環境があるそうです。
5 KDDIの選考情報
(1)選考フロー
ES→Webテスト→1次面接→2次面接→最終面接→内定
ES設問
・KDDIで実現したいことを教えてください。(400字以下)
・あなたがチームで力を入れて取り組んだ経験について、ご自身の役割を含めて教えてください。(400字以下)
筆記試験
KDDIのWebテストには、『玉手箱』が採用されています。言語・非言語の他に、英語も含まれているため、苦手な方は参考書を使って練習しておきましょう。
(2)新卒採用人数
2019年度の新卒の採用人数は283人でした。
男女別
年度 | 男女別(男性・女性) |
2018 | 295人(183・112) |
2019 | 290人(199・91) |
2020 | 283人(190・93) |
専攻別
年度 | 専攻別(文系・理系) |
2018 | 295人(133・162) |
2019 | 290人(144・146) |
2020 | 283人(150・133) |
6 KDDIの選考対策
(1)過去質問
・学生時代に力を入れてことは何か?
・何かに挑戦した経験はあるか?
・KDDIを志望する理由は何か?
・KDDIでやりたいことは何か?
・今のKDDIより良くするためには?
・KDDIのサービスの中で改善すべき点はどこか?
・他社の料金プランやキャンペーンについてどう思うか?
参照:就活会議、Unistyle
KDDIの面接では、競合であるドコモ、ソフトバンクとの違いについて明確に把握しておく必要があります。
下の記事を参考にして、3社の違いを理解した上で、KDDIの志望理由を答えられるようにしましょう。
(2)志望動機例
5G、IoT、通信とライフデザインの融合などを通じて社会に大きなインパクトを与え、生活の当たり前を変えていける点に強い魅力を感じたからです。特に通信とライフデザインの融合に関しては、携帯電話を利用するお客様の、家計支出を一手に引き受ける存在となることで、貴社の経済圏を広げ、更なる成長を促すとともに、よりお得で便利なサービスを提供し、お客様へ毎日の満足感とワクワクを与えられる点に大きな可能性を感じました。
出典:就活会議
貴社は、固定通信と移動通信の組み合わせで顧客に合わせた最適な通信サービスを提供し、通信キャリアとして多数の企業と関わりがある。さらに、トヨタ自動車との「つながるクルマ」に代表されるグローバル一括のサポートによる顧客目線の事業展開を行った上で、海外展開にも力を入れている。世界規模で人を繋ぎ、顧客に寄り添った貴社だからこそ、私は多種多様な人と関わり、顧客の要望に沿った新ビジネスの提案ができると考えている。
出典:就活会議
(3)求める人物像
KDDIは、求める人物として以下の2つを挙げています。
・あるべき姿に目を向け具体的な目標を立ててやり抜く力のある人
・周囲と真摯に向き合い思いを1つにして変革していく力のある人
これを見ると、KDDIでは1人で仕事をすることは少なく、チームで協力しながら仕事に取り組む機会が多いと考えられます。
周りを巻き込み、目標に向かって最後まで取り組んだ経験をアピールすると良いでしょう。
7【まとめ】KDDIの企業研究
【KDDIまとめ】
・KDDIとは、大手通信会社の1つで国内の携帯シェアは第2位。
・KDDIの業績は右肩上がりで堅調に推移している。特にライフデザイン事業とビジネスセグメントが好調。
・KDDIの事業領域にはパーソルセグメントとビジネスセグメントがある。
・KDDIの強み・特徴は「ライフデザイン事業」「顧客の囲い込み」「海外事業」
・総合職の平均年収は952万円。
・新卒の採用人数は280人ほど。
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